ルイヴィトンマルチカラー財布リボン
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null「呆《あき》れたもんだ」  と、それをデスクへ投げ戻した。 「不治《ふじ》の病《やまい》の治《なお》し代が、たったの三千円から五千円だよ」 「安いもんですね」  風間が笑った。 「うまい仕掛けさ」  岩瀬が憤慨《ふんがい》しているようであった。 「病院へ健康保険証を持って行って治療してもらうのと、保険証なしで診《み》てもらう場合には料金に差があるだろう」 「ええ」 「下町の神様たちは、その差額のちょうどまん中くらいを狙《ねら》っているのさ。本来なら、一万でも十万でも取りたいだろう。また、本当に治るのなら、十万が百万だって安いもんさ。でもそれじゃ客が来なくなる」 「そりゃそうですよ。十万払っても惜しくないと思うには、その神様をよほど信じ込まなくてはね」 「要するに、金を払って行くほうは、手相を見てもらうか、上手なマッサージにかかるくらいの気で行っているのさ。それで効果があらわれなくったって、三千円や五千円なら、やっぱりダメだったですんでしまう。でも、万一ってことがあるんだ」 「万一……」 「そう。万一治ったら大変だぜ」  岩瀬がそういうと、風間は笑いこけた。 「万一の使い方が逆じゃないか」 「そうさ。万一治りでもしたら、その患者や身内の者は、それこそ狂《くる》ったように神様に打ち込んでしまう」 「治りますか……万にひとつでも」