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2015-01-24 13:39    ルイヴィトンバッグモノグラムショルダー
 いかにもはなやいだ朝だった。一昨日博多湾に上陸したなどと思えなかった。五月に近い。土が陽の光にむんむんといきれている。私は太郎に会いに行こうと遊女の家を出たが、電車の駅の方へ抜けるのは嫌《いや》だった。人の顔を見たくない。ここから直接兵営の方に抜ける道は、昔から通り馴れている。深更の夜の道で、足音のする度、田畑にかくれた昔のことが可笑《おか》しく思い合された。半道ぐらいのものだったろうか、と門に沿うて歩きはじめた。  快楽を求め終ったような気持がしない。例の通り、まるで忍苦の道を歩みすすむふうである。菜種畑の花が黄っぽかった。明る過ぎる。それにしても、この菜種畑にかくれて遊んだ幼年の日には、身の丈《たけ》をかくれる程の、菜種の波だと思っていたが、遠眼には油絵具を流しこんだような黄一色も、寄ってみると思いがけず疎《まば》らな痩《や》せた幹と花だった。  土の痩せか? 戦いに疲れたのか? 一途《ず》に豪華な絵巻物に思いこんでいた幼年の夢が崩れている。左胸のあばら骨が一本抜き取られて終ったような便りない空虚が感じられた。が、昨夜の女を抱寄せた折の、意味のない気遅れの反射作用だと気がついた。  ちょっと、女の頬が眼に浮んだ。すると白日の菜種畑の上に、すさまじい、黄金の空虚が立昇るのである。  私は道を急いだ。昔押込められていた兵舎は迂回《うかい》する。相変らず演練の声が、無意味な遠吠《ぼ》えのように聞えている。ドーン、ドーンと野砲か山砲を放つのだろう、沈痛な空砲が、空に唸《うな》ってふるえていた。  半道ではなかった。一里を遥《はるか》に越えている。然し野中の邸のこんもりとした老樹の椋《むく》や楠《くすのき》が見えてくると、ああ、あそこに太郎がいるな、と、我子の成長が分明には想像も出来ないながら、思い切り溺《おぼ》れこんで抱きよせてみたい感情にとらえられるのである。  野中は母方の里だった。もう祖父も祖母も死んで終って、母の叔父の代である。私は七八歳の幼年の日をここで過しているから、一度は太郎も、此処でくらして見てくれることを願ったことがある。この清流は忘れがたい、と川幅は狭いながら、藪《やぶ》の蔭を走っているせせらぎに見入りながら上ってゆく。  杉垣を廻って裏木戸から庭に入る。鎖につながれたドーベルマンが高く吠え上って土を蹴るのである。  玄関のベルを鳴らす。 「はーい」 「どなたー」  と思いがけず先に母の声がして、大柄の母の姿が現れた。しばらく声もなく笑っていたが、 「いつ帰りました?」 「一昨日の夜」 「太郎さーん」  とよく徹《とお》る声で叫んでいる。 「居るの?」  私の声に母が肯《うなず》くから、